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史料纂集古記録編 第160回配本 迎陽記1(全2冊)
在庫あり

史料纂集古記録編 第160回配本 迎陽記1(全2冊) (こうようき)

小川剛生校訂

本体13,000円+税

初版発行:2011年3月25日 A5判・上製・函入・224頁 ISBN 978-4-8406-5160-8 C3321



記録の少ない南北朝期の根本史料、初の全文翻刻!

【内容説明】迎陽記(こうようき)は、南北朝~室町時代初期にかけて活動した紀伝道の儒者、東坊城秀長の日記。現存するものは、康安元年(1361)~応永17年(1410)におよぶ。秀長は、後円融天皇・後小松天皇の侍読を勤めた。足利義満の治世を伝える重要な日記、初の全文翻刻!満済准后日記と併読することをお勧めします。

『迎陽記』は、菅原氏の儒者で公卿の東坊城秀長(1338-1411)の日記である。「迎陽」は秀長の号。記録の乏しい南北朝時代における根本史料の一つであるが、ごく一部の記事が『大日本史料』に分載されているだけで、長らく未刊のままであり、諸本・記事の残存状況も詳らかでなく、利用は困難であった。
 今回、日次記のほか、別記・佚文も収めた形で、初めて本記の全文を公刊する。記事は史料纂集の体例に倣って、人名等の傍注・校訂注・説明注を施し、上欄には記事内容の標出を掲げた。
 第2冊は、改元・即位・諒闇・懺法講などの儀式記事を抄出して成立した別記を、それぞれ最善本を底本として収録した。
 秀長の一族は六位蔵人または内侍として宮中に祗候する者が多く、北朝天皇や室町幕府将軍周辺の知られざる史実が明らかになる。さらに足利義満の命で記した2編の記録、相国寺供養記と北山院入内記を、新たに本文を校訂して収めた。

東坊城秀長とは
儒学を家業とした菅原氏の出身で、参議長綱の子、為長の五代の孫に当たる。文書博士・式部大輔等を歴任し、正二位参議に昇った。北朝の後円融・後小松両天皇の侍読を務め、六度の年号勘申に参与するなど、当代を代表する学者として活躍した。さらに二条良基の家礼であり、足利義満にも重用され、公武の機密を知る立場にあった。一条兼良の外祖父に当たる。

■『迎陽記』の特色慶應義塾大学文学部教授 小川剛生
『迎陽記』のうち、まとまった分量を持つ日次記は、康暦元・二年(1379-80)、および応永五・六・八年(1398-1401)の、前後五年分の記事を遣すのみであるが、康暦は足利義満が朝廷に進出した時期に、応永は同じくその権勢の絶頂期に相当する。義満が公家社会を掌握する過程が鮮やかに記録され、近年議論の活発な室町殿の権力を考えるためにはまず繙くべき史料であろう。秀長は義満の公家化を慫慂した二条良基の家礼であり、義満を朝廷に迎え入れる立場にあった。この時期は、専ら良基・義満に批判的な公家の日記に拠って記述されてきたが、この日記によって、公平な視点を得ることができよう。
しかも、秀長は菅家の儒学の伝統をよく守った学者であり、日記には学問や文藝の記事がきわめて豊富である。加えて、猿楽・立花・連歌・和漢聯句など、新しい遊藝の興隆を窺わせる記事も見逃せない。室町期の政治・文化に関する貴重な証言に満ちた公家日記である。


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