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式部省補任 (しきぶしょうぶにん)
本体12,000円+税
初版発行:2008年5月15日 A5判・上製・函入・656頁 ISBN 978-4-8406-2031-4 C3321
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古記録・古文書を読むための基本資料「補任シリーズ」最新刊!
人事や儀式を担当し律令八省の中で重要な役割を担った式部省の九九〇年から一三三六年までの期間の補任記録をあらゆる史料を博捜し編年で編集
【内容説明】■本書の特長
●藤原道隆政権の成立した正暦元年(九九〇)から建武政権が崩壊した建武三年(延元元年〈一三三六〉)までの期間について、編年で編集した式部省の四等官の補任記録。
●文章道大業の者が専門職として勤めた文章博士・東宮学士・大学頭と、文章道の者を多く補任した内記局も併せて収録。
●二百をこえるあらゆる分野の史料を博捜し採録。
●任官期間が一目で分かる詳細な人名索引表。
●付載した人名考証はとりあげた人物の系譜・経歴がわかり人名辞典としても有用。
●式部省についての解説、及び重代の家として頻出する家の系図を付録。
■式部省とは
律令制八省の一つ。文官の人事や式典という朝廷の根幹を支える業務を担当しており、中務省とともに他の省より地位が高く、長官の卿には親王が任じられた。
また、文章道大業の者が省務を執り、文筆の官として朝廷の実務を担っていた。文章博士を筆頭に文章道専門職の牙城となり、極めた者は次官の式部大輔となって、長官に代わり実際の省務を担った。中世以降も他の省とは異なり、文章道大業の諸家によって実体を失わず存続していくことが特徴といえる。
■『式部省補任』を使ってみよう
たとえば、赤染衛門を妻にもち、三十六歌仙の一人でもある名儒大江匡衡について調べてみよう。
①人名索引
大江匡衡を引く。すると、文章博士、式部権少輔、東宮学士、式部権大輔、文書博士らを経て式部大輔になっていることがわかる。索引ではこれらの在任期間が一目で分かる。
②補任表
次に該当の補任表をみる。寛弘七年(18頁)をみると、式部大輔に同年二月に転任し、また三月に丹波守(元尾張守)、十月に侍従を兼官したことが出典とともにわかる。
③考証
さらに該当の考証をみる。すると匡衡の生没年、家族の記載、および天延三年に文章得業生となったことなど、式部省以外の職歴が出典とともに詳細にわかる。人名辞典としても有用である。
【著者】永井晋(ながいすすむ)
1959年 生まれ
1986年 國學院大學大学院博士課程後期中退(文学修士)
1986年 神奈川県教育委員会就職、金沢文庫勤務
2008年 國學院大學博士(歴史学)
現 在 神奈川県立金沢文庫主任学芸員・國學院大學非常勤講師
〔主要著書〕
『官史補任』(続群書類従完成会)
『鎌倉幕府の転換点—吾妻鏡を読み直す』(NHK出版)
『人物叢書 金沢貞顕』(吉川弘文館)
『金沢文庫資料図録書状編1』(神奈川県立金沢文庫 共著)
『吾妻鏡人名総覧—注釈と考証—』(吉川弘文館 共著)
『北条氏系譜人名辞典』(新人物往来社 共著)
『金沢北条氏の研究』(八木書店)
『北条時宗の時代』(八木書店 共著)
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