出版物
図説 江戸の表現—浮世絵・文学・芸能—
本体12,000円+税
初版発行:2014年3月25日 B5判・上製・カバー装・352頁 ISBN 978-4-8406-9689-0 C0070
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近世の知的遊戯の豊かさ。約200点の図版から考察
カラー図版96点・モノクロ図版134点から読み解く、『図説〈見立〉と〈やつし〉』に続く日本文化の表現様式研究、第2弾。
【内容説明】「見立て」「やつし」に加え、「地口」「尽し」「物合せ」「評判」「縮景」などにまで視野を広げ、日本人が愛してきた表現様式を解説・考察する。
江戸時代には、様々な表現の様式があった。例えば表現様式の一つに「地口」というものがある。「下戸にご飯」は「猫に小判」をもとにした江戸の地口。今では、表現様式の多くが私たちの意識の表面から消えてしまっているが、テレビの番組や日常の会話などに、それらは時に浮上してくる。昨年の流行語大賞「オ・モ・テ・ナ・シ」を「ロ・ク・デ・ナ・シ」や「イ・ク・ジ・ナ・シ」と言い換えて遊ぶことが流行ったが、これは類似した音で違う意味を持たせる「地口」の現代版である。
日本文化の発想法を探るときには、様々な「表現様式」というものを見逃すことができない。とくに江戸時代の作品には、独特の表現様式を見ることができる。これらの表現が随所に見られる浮世絵や俳諧、歌舞伎などは、日本文化の発想法を知るための、重要なヒントを提供してくれるのである。
江戸の人々の知的遊戯の驚くべき豊かさは、現代人に新鮮な衝撃を与えるだろう。
【目次】第一章 絵画資料の様々
・前代からの視点
・役者見立絵
・歌仙絵の展開
・ことばの見立て
・見立絵本と開帳
・句兄弟から絵兄弟へ
・「評判」の様式
・「やつし」と「縮景」
・「尽しもの」と「揃え」
・ジャンルの越境
第二章「表現」の諸相
浮世絵の表現
江戸の長ぜりふ(武藤純子)
役者絵『見立三十六歌撰』の見立てについて(山下則子)
鳥の趣向と遊廓文化(丹羽みさと)
役者見立絵(浅野秀剛)
文学の表現
芭蕉発句の「見立て」表現(金子俊之)
「句兄弟」の方法(稲葉有祐)
多色摺の源流(伊藤善隆)
江戸の職人歌合(吉丸雄哉)
近世的表現としての「序」・覚書(山本和明)
芸能の表現
役者評判記における見立て評の系譜(倉橋正恵)
元禄歌舞伎の「やつし」芸(佐藤恵里)
近世芸能の表現(原道生)
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