出版物
天草版 ラテン文典 (あまくさばん らてんぶんてん)
本体30,000円+税
初版発行:2012年8月25日 B5判・上製・カバー装・652頁 ISBN 978-4-8406-2085-7 C3080
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1594 年に天草で刊行されたキリシタン版を高精細カラーで影印!
厳密な翻刻と解説を付し、その全貌を明らかに!
【内容説明】イエズス会日本語研究書の嚆矢
東京外国語大学教授 豊島正之
天草版『ラテン文典』(1594 年刊)は、日本で布教を続けた日本イエズス会が出版した、日本語用例・その注釈付きのキリシタン版ラテン文典であって、ラテン文法の枠組みによる初の日本語文法書として著聞する。しかし、他のキリシタン文献や、その後の(通事ロドリゲスの)文法書類に比して、研究は遙かに少ない。原本は、日本イエズス会が初めて活字(イタリック)製造から造本までの全てを日本で手掛けたキリシタン版である(それまでの『イソポ物語』等は、欧州からの輸入活字によるもの)。このためか、原本は、組版が著しく不安定で、印字不鮮明の箇所が多数ある。加えて、使用された和紙が時に極めて薄く、裏面の印字が透ける「裏写り」が甚だしい。印字品質だけでなく、原文自体の誤植・誤綴、異様な省記法等、欧文組版に習熟していなかったがための問題も少なからず、原本の稀覯と相俟って、本書を難読の文献にして来た。今回の出版は、所蔵館の御理解の下、原本を新たにデジタル撮影した鮮明なカラー複製に、原本の観察に基づく翻刻を添え、且つ、誤植を正し省記を開くなどした解釈本文として整備する事で、原本の克明な観察・その通読の双方を容易とし、名のみ高い天草版『ラテン文典』が研究可能な資料として現代に甦る事を願って、世に送るものである。
●日本初鋳造のイタリック体活字を使用し、ラテン文法に基づく日本語文法の初素描となる、記念すべきキリシタン版を新たにデジタル撮影。
●原文の誤植は訂し、印字不鮮明箇所を補読し、日本語には漢字・仮名表記を補って通読可能な解釈本文とした翻刻、最新の知見を盛った解説。
●日本語学・言語学・日欧交渉史・宗教史・印刷史等に必携の基本資料。
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