出版物
王権讃歌の系譜学—「神」と詠われた古代の天皇— (おうけんさんかのけいふがく かみとうたわれたこだいのてんのう)
本体予価11,000円+税
初版発行:2026年9月15日 A5判・上製・カバー装・552頁 ISBN 978-4-8406-2659-0 C3321
ネット書店で購入
古代の天皇はなぜ「神」と詠われたのか
「大君は神にしませば」と詠われた古代天皇。「現御神」の成立からイデオロギーの読み替えまで、正史と万葉の読解から、古代天皇観の本質に迫る。
【内容説明】古代の天皇はなぜ「神」と詠われたのか
「大君は神にしませば」と詠われた古代天皇。「現御神」の成立からイデオロギーの読み替えまで、正史と万葉の読解から、古代天皇観の本質に迫る。
持統天皇の即位儀礼から「現御神」成立の構造を実証。柿本人麻呂や大伴家持ら宮廷歌人の葛藤を言語表現から照射し、多層的な天皇観を浮き彫りにする。さらに記紀の言説が中世・幕末・近代へと読み替えられ、「神国日本」のイデオロギーへ変容する系譜を追う。文学と正史を越境し、支配の精神構造を解明する画期的論考。
●持統天皇の即位儀礼と「現御神」の成立
持統天皇の即位儀における大盾や天神寿詞、剣鏡の意義を検証し、「ヨサシ」による国土統治委任の構造を解明。文武天皇への継承過程も視野に入れ、記紀の記述や宣命の精緻な読解を通じて、天皇が「現御神」として神格化されていく政治的・宗教的なメカニズムとその構造的特質を実証的に論じる。
●万葉歌人の葛藤と王権讃歌の精神構造
『万葉集』にみる王権讃美の系譜を、単なる公式の宮廷讃歌としてではなく、歌人たちの内面的な葛藤の表出として捉え直す。柿本人麻呂や大伴家持らの言語表現を精査し、王権の永遠性と負名意識との間で揺れ動く歌人の精神世界を照射することで、支配イデオロギーに収まらない多層的な天皇観を浮き彫りに。
●記紀言説の変容と「神国」イデオロギーの系譜
『古事記』『日本書紀』の記述が、中世の摂関期や南北朝、幕末、さらに近代の『国体の本義』に至る各転換期において、如何に「読み替え」られ、支配権力の正当化や「神国日本」思想へと変容したか。研究者も同じように読み替えをしている。正史の言説が時代ごとのイデオロギーとして機能し、人々の歴史認識を拘束していく動態的な過程を検証する。
【目次】緒 言
第一部 持統天皇、神になる、の意味
はじめに
一 神として即位する持統天皇
(1)持統天皇即位儀の新しさ
(2)大盾と物部氏
(3)天神寿詞と中臣氏
(4)ヨサシ=国土統治の委任
(5)神璽の剣鏡と忌部氏
(6)持統天皇、神になる
二 文武天皇の即位と天皇制の構造
(1)文武天皇の即位儀
(2)現御神としての天皇
(3)いつ神になるのか
(4)誰が天皇になるのか
(5)文武天皇即位宣命
三 天神・皇祖・天孫・皇孫の成立
(1)天神と〈皇祖神〉
(2)天孫と皇孫の異同
(3)皇 祖
(4)神々と天皇の繫がり
(5)朝鮮の始祖神
(6)氏族系譜の作成
四 神となった持統天皇
(1)天皇即神前史
(2)吉野讃歌—神となる持統天皇—
(3)品田悦一説=持統天皇即神説批判の検討
(4)現前化する神の御代
(5)吉野讃歌の漢籍の影響、漢詩への影響
(6)藤原宮役民歌
(7)藤原宮御井歌と伊勢
(8)大君は神にしませば
五 神である軽皇子と皇子たち
(1)高光る日の皇子草壁
(2)高照らす日の皇子天武天皇
(3)天降る天皇
(4)近江荒都歌と皇統
(5)人麻呂の私情と憶念
(6)人麻呂の即神観
(7)神となる皇子たち
(8)高市皇子挽歌
(9)天武・持統天皇に重なる軽皇子
(10)軽皇子に内在する神性
おわりに
第二部 王権讃歌の系譜学
はじめに
一 王都、永遠性の不在
(1)応詔歌(3・二三八)
(2)香具山歌(3・二五七~二五九)
(3)寧楽宮遷都歌(1・七八~八〇)
二 王権の永遠性を保証する自然・神性
(1)吉野離宮行幸従駕歌(6・九〇七~九一二)
(2)吉野離宮行幸従駕歌(6・九一三~九一六)
(3)吉野行幸従駕歌(3・三一五、三一六)
(4)伊予温泉歌(3・三二二、三二三)
(5)神岳歌(3・三二四、三二五)
三 不安の発生と皇統意識のめばえ
(1)紀伊国行幸従駕歌(6・九一七~九一九)
(2)三香原離宮行幸従駕歌(4・五四六~五四八)
(3)吉野離宮行幸従駕歌(6・九二〇~九二二)
(4)吉野讃歌(6・九二三~九二七)
(5)難波宮行幸従駕歌(6・九二八~九三四)
(6)播磨国印南野行幸従駕歌(6・九三五~九四一)
(7)吉野行幸従駕歌(6・一〇〇五、一〇〇六)
(8)聖武天皇東国巡幸歌(6・一〇二九~一〇三六)
四 恭仁京の光影と神観念の諸相
(1)三香原新都讃歌(17・三九〇七、三九〇八)
(2)悲寧楽故郷作歌(6・一〇四七~一〇四九)
(3)久邇新京讃歌(6・一〇五〇~一〇五八)
(4)阿倍皇太子五節舞饗宴歌(続紀歌謡二、三、四)
(5)沢田川(『催馬楽』二)
五 王権を讃美する大伴家持
(1)久邇京讃歌(6・一〇三七)
(2)安積皇子挽歌(3・四七五~四八〇)
(3)傷惜寧楽京荒墟歌(6・一〇四四~一〇四六)
(4)難波離宮行幸従駕歌(6・一〇六二~一〇六四)
(5)過敏馬浦歌(6・一〇六五~一〇六七)
(6)春日悲傷三香原荒墟作歌(6・一〇五九~一〇六一)
(7)二上山賦(17・三九八五~三九八七)
六 皇統に重ねる家持の負名意識
(1)独居幄裏遙聞霍公鳥喧作歌(18・四〇八九~四〇九二)
(2)賀陸奥国出金詔書歌(18・四〇九四~四〇九七)
(3)吉野離宮行幸儲作歌(18・四〇九八~四一〇〇)
(4)依興預作侍宴応詔歌(19・四二五四、四二五五)
(5)為応詔儲作歌(19・四二六六、四二六七)
(6)陳私拙懐歌(20・四三六〇~四三六二)
(7)喩族歌(20・四四六五~四四六七)
(8)徳治政治の再現を願う歌(20・四四九六~四五一三)
(9)由義宮歌垣歌謡(続紀歌謡六、七)
七 光仁朝以降の大伴家持
八 終 章
あとがき
索 引 研究者名 / 歌謡・倭歌
ネット書店で購入

