出版物
葛城の考古学—先史・古代研究の最前線—
【執筆者(執筆順)】松田真一/金澤雄太(御所市教育委員会)/関川尚功(上牧町教育委員会)/千賀久(葛城市歴史博物館)/神庭滋(葛城市歴史博物館)/泉武(前高松塚壁画館)/西垣遼(香芝市教育委員会)
本体3,200円+税
初版発行:2022年6月25日 A5判・上製・カバー装・352頁+カラー口絵8頁 ISBN 978-4-8406-2255-4 C3021
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最新の発掘調査が解明するヤマト最重要の地、葛城の通史
古代の大豪族・葛城氏の拠点であり、巨大古墳や豪族居館跡など、考古学の発掘調査により重要な発見が相次ぐ葛城の歴史を、旧石器から奈良・平安時代にかけて、最新の発掘調査から解明!
【内容説明】①先史・古代の重要遺跡が残る地
奈良盆地の南西部にあたる葛城の地(令制大和国の葛上郡・忍海郡・葛下郡、および広瀬郡を加えた地域)には、先史・古代を中心に、歴史上重要な古墳や寺院など、多様な種類の遺跡を含む文化財が数多く残る。
②古代大和の豪族葛城氏の枢要の地
葛城は、古墳時代の5世紀代に最大の勢力を誇った古代大和の豪族葛城氏の枢要の地である。正史にも記録されていることから、葛城の歴史は一地方史にとどまらず、日本古代政治史や文化史にも深く関わる。
③最新の発掘調査をふまえた叙述
近年この葛城からは、旧石器時代から奈良・平安時代に至る重要な遺跡や出土品など、考古学的に大きな意義のある発見が相次いでいる。本書では、考古学的調査によって得られた資料を分析し、新たな葛城の歴史を叙述した。
④特色ある地域文化の論述
葛城という地域の環境や歴史的背景に注目するほか、隣接する地域との関係のなかで、どのような特色を有する地域文化が醸成されたのか、という視点で論述。重要なテーマを深く掘り下げると同時に、葛城の歴史について時代を追って学ぶことができる、通史も意識した構成とした。
⑤葛城を訪ねる参考として
本書を読むことで、先史・古代の歴史全般に対する興味をより広げることにつながる。また、本書に記述された葛城の地を実際に訪ねる際のより具体的な参考資料となる。現地の散策に有用な葛城の遺跡地図も併載。カラー口絵など図版も多数収録した。
【目次】カラー口絵(8頁)
序
葛城地域の遺跡分布図
第1章 葛城の黎明
第1節 葛城地域とは
(1葛城の由来/2葛城の地勢と環境/3葛城の領域と外域)
第2節 サヌカイト鉱山の開発
(1旧石器文化と二上山産サヌカイト/2石器製作技術の特徴/3葛城地域の旧石器資料/4サヌカイトの原産地と消費地/5縄文時代以降のサヌカイト利用)
第3節 縄文社会の特質
(1定住生活への移行/2葛城の縄文集落/3集落の構造と建造物/4資源環境への働きかけ/5縄文晩期の埋葬と社会)
第2章 初期農耕文化の展開と地域統合
第1節 葛城の弥生集落と水田開発
(1水田の経営/2拠点集落の成立と消長)
第2節 稲作のマツリ
(1神性を帯びた青銅器/2葛城地域出土の青銅器/3資源や情報の流通)
第3節 ムラからクニへ
(1集落の動向/2高地性集落の出現)
第3章 葛城氏の勃興と古墳文化
第1節 台頭した地域の首長層
(1葛城北部における首長墓の出現と系譜/2葛城南部における首長墓とその特色)
第2節 馬見古墳群と葛城の天皇陵
(1馬見古墳群/2王墓と石棺/3埴輪や木製品にみる古墳の葬祭)
第3節 葛城南部の初代首長と拠点集落
(1葛城と葛城氏/2葛城にやってきた渡来人/3初代の首長/4拠点集落の設定/5首長権威の創出)
第4節 葛城の経済基盤
(1新しい産業の定着/2交通路・流通ルートの整備/3南郷から忍海へ/4首長墓の消長と葛城氏の盛衰)
第5節 忍海の渡来人
(1葛城のなかの忍海/2葛城の渡来人/3脇田遺跡/4忍海の渡来人/5忍海工房群の生産力)
第6節 黄泉の世界
(1横穴式石室の導入/2畿内の横穴式石室/3横穴式石室を築いた人びと/4寺口忍海古墳群/5横穴式石室の埋葬のあり方/6葛城の大型横穴式石室)
第4章 仏教の隆盛と律令制度の確立
第1節 葛城の終末期古墳における改葬墓—三ツ塚古墳群の分析を中心にして—
(1三ツ塚古墳群と改葬墓/2改葬の諸相/3葛城地域の改葬・追葬—人骨が出土している古墳—/4骨化空間としての石室利用/5家形石棺と石工集団/6三ツ塚古墳群の被葬者像/7葛城地域における火葬の普及/8葛城地域の古墓/まとめ)
第2節 律令国家と官道の整備
(1葛城を通る基幹路/2葛城地域北部(葛下郡)の路線)
第3節 仏教の受容と飛鳥時代寺院
(1古代寺院の所在と造営者/2瓦からみた葛城地域の寺々)
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