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上皇と法皇の歴史—仙洞年代記— (じょうこうとほうおうのれきし)

槇 道雄著

本体15,000円+税

初版発行:2021年12月23日 A5判・上製・函入・556頁 ISBN 978-4-8406-2250-9 C3021



歴代の上皇と法皇の歴史を解説した年代記。引用史料は読み下し、ルビを付けた読みやすい解説書

【内容説明】いわゆる院政時代の平安後期から鎌倉前期に限らず、広く歴代の上皇、また出家した法皇も含めて、院政形態の全体像をなるべく平易に略述してある。

●明治時代の旧「皇室典範」により永遠に廃止されたと思われた「上皇」復活に触発されて執筆したものである。
●天皇号成立以後の歴代天皇の推移を追いながら、そのなかで上皇・法皇の姿を述べている。
●天皇号、太上天皇号、ついで院号の天皇名・太上天皇名の常態化が長期間に及んだ史実を明示した。
●院号天皇名と院政形態の終焉による漢風諡号天皇名の復活過程の背景を追求してみた。
●引用史料については適宜読み下し、本文も含めてルビを付したことで、全体に読みやすくしてある。
サブタイトルの「仙洞」とは、『荘子』内篇(逍遥篇)にみえる語句にちなむ上皇・法皇らの御所を指す。これらは、院号つきのものが多かったため、上皇・法皇に対しても「院」という呼称が用いられ、やがては天皇号に代わる院号で上皇・法皇、また天皇に追号を贈る時代が900年も続いた。その全体像を一般にも広く理解していただけるように「年代記」と名付けて記述されている。

【目次】緒 言

序 章 執筆のプロローグ
 1 憲政史上最初の上皇
 2 立憲体制成立の背景
 3 伊藤博文の憲政方針
 4 天皇譲位制の否定
 5 皇室典範の成立

第一章 天皇号採用の前提
 1 天皇号の多様性
 2 天皇記成立の背景
 3 大和政権成立と漢字伝来
 4 大和政権首長の呼称
 5 天皇号の誕生

第二章 院政の原初形態
 1 天皇号の不徹底
 2 皇祖母尊の重祚
 3 太上天皇号の成立
 4 藤原不比等皇胤説
 5 紫微中台の出現
 6 光明皇太后の皇権
 7 上皇と天皇の上下関係
 8 菩薩天子の出現
 9 高野天皇の崩御
 10 太上天皇菩薩
 11 和気清麻呂の伝説
 12 伝説創作とその影響
 13 光仁上皇と桓武天皇の確執
 14 新王朝の軍事と造作
 15 平城天皇の治世
 16 嵯峨朝の二所朝廷
 17 弘仁の変後の上皇
 18 御霊信仰の定着

第三章 院号天皇の時代
 1 摂関政治の開始
 2 太上法皇の出現
 3 陽成上皇と宇多法皇
 4 院号天皇の出現
 5 女院号の出現
 6 摂関政治の確立
 7 後三条天皇の治世
 8 院政時代への移行
 9 院政体制の確立
 10 武者の世の到来
 11 平清盛の台頭
 12 後白河院政の再停止
 13 高倉院政後の内乱
 14 日本国第一の大天狗
 15 後鳥羽院政の開始
 16 上皇と関東武家政権
 17 承久の乱
 18 後高倉院政
 19 後嵯峨院政
 20 両統迭立の開始
 21 両統迭立期の院政
 22 文保の御和談
 23 建武新政期の両皇統
 24 正平の一統
 25 南北朝の合一
 26 伏見宮家の成立
 27 戦国乱世の院政
 28 近衛前久の時代
 29 豊臣・徳川政権下の院政
 30 院号天皇の終焉

第四章 院政形態の消滅
 1 朱子学の影響
 2 江戸幕府の修史事業
 3 水戸学の成立
 4 院号・院政の否定   
 5 尊王論の展開   
 6 近代歴史学の成立
 7 院政観の変容

結 語 擱筆のエピローグ
追 記
上皇法皇一覧
人名索引


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