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中世天皇家の作法と律令制の残像 (チュウセイテンノウケノサホウトリツリョウセイノザンゾウ)

久水俊和著

本体7,000円+税

初版発行:2020年6月20日 A5判・上製・カバー装・400頁 ISBN 978-4-8406-2239-4 C3021



中世に残された古代律令制の実像とは?
朝廷と室町幕府のあらたな関係を提示
天皇家の公事作法や神事・学芸に注目し、皇統確立の過程を明らかに。律令国家以来の太政官制が中世に機能していたことを論証。平安京大内裏跡の具体的な復原も試みる。

【内容説明】【下級役人に注目した公武共同執行体制の再構築】
●最新の学説「公武統一政権」では、朝廷=天皇、幕府=将軍の“個人商店”ともいえる趣で、最上層部のみを対象に述べられており、下級役人は軽視されている。
●幕府には政所があり、朝廷には官司請負化しているものの律令国家以来の太政官制が健在なのにもかかわらず、里内裏=内廷機能ばかりが注目され、太政官制は「形骸化」したと誤認される。
●公武の実務担当の下級役人を手がかりに、公武共同による執行体制の再構築を試みる。

【皇統はどのように確立したのか】
●正平一統(南北朝期の正平年間〔1346‐70〕に一時的に南北朝が合体したこと)がきっかけとなり北朝は後光厳院流・崇光院流の2つに分裂。後花園は後光厳院流を継承したのか、それとも血脈優先で崇光院流を継承したのか。現在の皇室にもつながる問題に挑む。
●後花園(貞成)への尊号宣下により崇光院流に決着したする通説に対して、「家(イエ)」を構成する要素は公事作法・仏神事・学芸など多岐にわたる点に注目し、新説を提示。皇統の問題を追求する。

【平安京大内裏跡の復原】
●中世後期から近世初頭、「内野」と呼ばれた平安京大内裏跡を復原。これまではほとんどが里内裏=内廷機能中心に論展開されており、内野を舞台に展開された太政官・神祇官・真言院の国家的機能が軽視されている。さらに、中世内野を復原した諸地図に至っては、空閑地のままである。
●内野に存続した神祇官・太政官庁・真言院および神泉苑の機能を明確にし、内野での機能的終焉を追跡する。同時に、内野に何故これらの官衙・禁苑が維持されたのかを、その終焉から帰納的に考察する。終焉の画期となった聚楽第・二条城築城と内野の連関も試みる。


●書き下ろしコラム公開。
久水俊和「中世の支配者は幕府だけではない!? 中世国家の運営を担う「天皇」と「太政官」」
https://company.books-yagi.co.jp/archives/6624

下記URLから本書の序章・目次・索引が閲覧できる。https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622394.pdf

【目次】序 章 中世後期朝廷史研究の概説と課題点
  はじめに
  第一節 深化する中世後期朝廷史
  第二節 近年の公武関係論からみる課題点
   第一項 桃崎有一郎『中世京都の空間構造と礼節体系』
   第二項 松永和浩『室町期公武関係と南北朝内乱』
   第三項 石原比伊呂『室町時代の将軍家と天皇家』

第一部 中世「天皇家」の作法
 第一章 後花園天皇をめぐる皇統解釈
  第一節 二つの皇統の正統をめぐる相剋
   第一項 系図の作成と皇統意識
   第二項 貞成親王の「京中伏見御所」移徙までの過程
   第三項 「京中伏見御所」への移徙と上皇化
  第二節 文安四年の尊号宣下
   第一項 尊号宣下内定まで
   第二項 後崇光院庁の発足と尊号宣下
   第三項 後花園後宮と外戚の皇統解釈への素材性
  おわりに

 第二章 「天皇家」の追善仏事と皇統意識
  第一節 問題の所在と手法
   第一項 問題の所在
   第二項 皇統意識解釈の素材としての仏事
  第二節 後花園院追善仏事と皇統意識
   第一項 崇光院貞成親王への追善仏事
   第二項 後花園院への追善仏事
  第三節 追善仏事の意義の変容―皇統解釈をめぐる争いから寺家による誘致争いへ
   第一項 後土御門天皇への追善仏事
   第二項 中近世移行期の天皇家追善仏事
  おわりに

 第三章 「天皇家」葬礼の変遷
  第一節 供奉公卿の検討
   第一項 現役大臣と摂家の供奉
   第二項 武家棟梁参列の性格規定
   第三項 行列の規模と供奉の性格規定
  第二節 運営・経営
   第一項 土葬への変更
   第二項 運営・経営
  おわりに

 〔コラム1〕「凡ノ承運」と「マコトノ継体」―傍流となる恐怖―

 第四章 大覚寺統「天皇家」の作法の行方―後醍醐天皇の葬送と追善仏事から―
  第一節 天皇葬儀の類型の整理
  第二節 後醍醐天皇の葬礼
   第一項 大覚寺統の葬礼
   第二項 後醍醐天皇の葬礼
   第三項 後醍醐天皇死去への北朝・室町幕府の対応
  第三節 大覚寺統の追善仏事の行方
   第一項 後醍醐天皇主催の追善供養と後醍醐天皇への追善供養
   第二項 北朝・幕府による後醍醐天皇追善
  おわりに

 第五章 「公家足利家」の作法の行方―石清水放生会参向事例から―
  第一節 足利将軍家の放生会参向の性格規定
  第二節 足利将軍家の放生会路頭行列の性格規定
  おわりに

 〔コラム2〕散逸した宮中神の行方

第二部 律令制太政官の残像
 第一章 朝廷恒例公事の支出構造
  第一節 公家が支出主体の公事の支出構造
   第一項 公家の出納機関から支出される公事の支出構造
   第二項 公家が支出主体の公事と国役
  第二節 公武共同執行公事の支出構造
   第一項 奉行が幕府と交渉する場合
   第二項 伝奏が幕府と交渉する場合
   第三項 分配役
  第三節 蔵人頭を分配役とする支出構造と外記方支出構造
   第一項 蔵人頭を分配役とする支出構造
   第二項 外記方支出構造
  おわりに

 〔コラム3〕帳簿からみえてくる世界

 第二章 内野の存続官衙
  第一節 問題の所在と研究史の整理
  第二節 神祇官の聖性と国家的機能
   第一項 神祇官の聖性
   第二項 神祇官の国家的機能
  第三節 太政官庁の聖性と国家的機能
  第四節 真言院神泉苑の聖性と国家的機能
   第一項 真言院の聖性・機能と東寺
   第二項 神泉苑の聖性・機能と東寺
  おわりに

 第三章 内野神祇官機能の行方
  第一節 中世後期神祇官における班幣儀礼の様相
   第一項 室町期神祇官の様相
   第二項 戦国期神祇官における班幣儀礼の様相
  第二節 内野での神祇官の終焉と機能の行方
   第一項 神祇官八神殿の吉田神社斎場所移転
   第二項 江戸時代の内野神祇官跡と神祇官機能の行方
  おわりに

 第四章 内野の太政官庁
  第一節 太政官庁造営システム
  第二節 公事の舞台としての太政官庁
   第一項 恒例公事と太政官庁
   第二項 皇位継承儀礼と太政官庁
  第三節 太政官庁機能の行方
  おわりに

 〔コラム4〕大奉幣米研究の深化

 第五章 真言院・神泉苑の諸相
  第一節 中世後期から中近世移行期の真言院の諸相
   第一項 真言院の運営実態
   第二項 真言院の退転
  第二節 中世後期から中近世移行期の神泉苑の諸相
   第一項 室町期の神泉苑の経営実態と聖域性
   第二項 神泉苑の東寺私領化と退転
  第三節 近世初頭における後七日御修法再興と神泉苑の東寺末寺化
   第一項 聚楽第・二条城の築城と真言院・神泉苑
   第二項 後七日御修法の再興と神泉苑の転生
  おわりに

 終 章 中世「天皇家」の作法と律令制太政官の残像

 あとがき
 索  引
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