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年号と東アジア—改元の思想と文化— (ねんごうとひがしあじあ)

水上雅晴編/編集協力 髙田宗平

本体12,000円+税

初版発行:2019年4月30日 A5判・上製・カバー装・792頁+カラー口絵32頁 ISBN 978-4-8406-2227-1 C3021



時の命名こそ支配—年号から読み解く東アジアの文化と思想
多彩な分野の専門家が一堂に集結し、日本・中国・朝鮮半島・ベトナムなど漢字文化圏における年号について、その具体的な様相や、選定の手続き、為政者の思惑等々、多様な視点で読解!

【内容説明】●平成31年(2019)4月30日、「平成」が終わり、新たな「令和」へ——「年号」は単に時を表すだけではなく、社会の諸相を語る物差しであり、日本の歴史や文化を論じる上で不可欠である。
●漢代に始まり周辺諸国に広まった年号。日本では大化(645-649)から平成まで247の年号が使われ、1300年間以上途切れることなく、現代まで使い続けている世界で唯一の国である。
●本書では、日本のみならず、地域は中国・朝鮮半島・ベトナム、時代は古代から近代までを検討の対象とし、年号を軸に、時代による差異、国家による特質などを論じる。
●執筆者は中国哲学、中国科学思想史、日本漢学、日本史(古代・中世・近世)、朝鮮史、ベトナム史、日本思想史、倫理学、日本文学、国語学、日本法制史、書誌学など多彩。
●言語・王権・ナショナリズム・正統性・儀礼・術数・暦法・古記録などを切り口に、年号の思想・文化を明らかにした初の横断的、学際的、総合的研究。
●カラー口絵「年号を決める—記録・文書・漢籍—」では、国立歴史民俗博物館所蔵品を中心に、資料写真約50点を32頁にわたりカラー掲載。時に名前をつける、年号を決める人々、年号の決め方、年号と漢籍の4幕にわたり、豊富な図版で年号の決定にまつわる事項を紹介。


【日本・中国・朝鮮半島・ベトナムの年号(本書の論考の趣旨を一部紹介)】
 日本の年号(247個。大化〔645〕~平成〔2019〕)
・為政者の思惑:南北朝それぞれに建てられた年号は、皇統の正統性を表す政治的な思惑だった。
・学問の家の思惑と対策:年号案を提出する資格は紀伝道を家職とする者に限られており、彼らにとって自身の案が採用されることは、家格の維持に必要なことであった。
・出典となる漢籍:年号は漢籍から選ばれた。なかには現存しない漢籍からの引用もあり、漢籍の失われた本文を知る手がかりとなる。
 中国の年号(約456個。漢~清〔1911〕)
・政治制度:年号には権威・正統性の主張・国運が現れており、年号の分析を通して、その文字の背後にある思想と文化を読み取ることができる。
・最先端の学問:術数、暦法等、年号は最先端の学問を駆使して決定された。
 朝鮮半島の年号(近代以後、5個〔1894-1910、1948-1961〕)
・中国年号の利用:近代以前の独自年号はごくわずかで、原則として中国の年号を採用した。
・ナショナリズムの表象:近代になり制定された5つの年号はナショナリズムの表象として制定された。
 ベトナムの年号(148個〔970-1945〕)
・初のベトナム年号史:二王朝並立の年号、銭貨にみえる年号などを総括し、年号の歴史をたどる。


●書き下ろしコラム公開
水上雅晴「年号と元号」
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5375

【目次】【カラー口絵】年号を決める—記録・文書・漢籍—

序  水上雅晴
総論 所  功「日本年号の来歴と特色」

[第一部 文字・言葉・記録]
1 小川剛生「迎陽記の改元記事について」
2 石井行雄・猪野 毅・近藤浩之「金沢文庫本『群書治要』移点の意味」
3 髙田宗平「年号勘文から見た日本中世における類書利用—『修文殿御覧』をめぐって—」
4 大形 徹「年号と貨幣—中国貨幣「漢興」「大夏真興」を起点として—」
5 名和敏光「中国出土資料紀年考」

[第二部 朝鮮・ベトナムと年号]
1 月脚達彦「近現代朝鮮のナショナリズムと年号」
2 ファム・レ・フイ「ベトナムの年号史試論—丁・前黎・李・陳朝期(十世紀~十四世紀)の事例を中心に—」

[第三部 年号と正統性]
1 清水浩子「年号と王朝交代」
2 多田伊織「受命と改元—漢末の改元をめぐって—」
3 甘 懐真「東アジアにおける四~六世紀の「治天下大王」と年号」
4 福島金治「鎌倉期の年号勘申者の家と公武政権」
5 田中大喜「南北朝期日本の不改年号と私年号」

[第四部 「時」の支配]
1 童 嶺「五胡十六国前期「列国元年」紀年研究序説」
2 久禮旦雄「平安時代初期の王権と元号」
3 鶴成久章「「一世一元」制度の淵源—明朝の年号をめぐって—」
4 大川 真「近世日本における一世一元論」
5 清水正之「年号と暦法—本居宣長における作為「人作」と自然「神作」—」

[第五部 改元の思想的要素]
1 鄭 吉雄「天命・暦法と年号」
2 赤澤春彦「日本中世における改元と陰陽家」
3 水口幹記「祥瑞改元から災異改元へ」
4 尾形弘紀「文字の想像力と改元—改元における「キャンプ」なるものをめぐって—」
5 水上雅晴「難陳—朝廷における改元議論の実態—」

[第六部 年号と時間]
1 武田時昌「中国古代の暦運説—数理と展開—」
2 細井浩志「日本の古代における年号制の成立について」
3 末永高康「術数の原理—『兼良公三革説』を中心に—」
4 吉野健一「近世民衆の年号認識—噂や狂歌を事例として—」

[第七部 資料紹介]
1 髙田宗平「国立歴史民俗博物館所蔵「〔経光卿改元定記 寛元 宝治 建長〕」—影印、附・略解題—」
2 所  功「霊元上皇宸筆 国立歴史民俗博物館所蔵「年号事」覚書」

[附  録]
1 索引(事項・人名・史資料・年号)
2 続群書類従 改元関係記事索引(石井・猪野・近藤)
3 中国・日本・朝鮮・ベトナムの公年号一覧

あとがき  水上雅晴
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