八木書店 出版物・古書目録

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歌舞伎とは いかなる演劇か (かぶきとは いかなるえんげきか)

武井協三

キーワード:
断片性 / 好色性 / 傾き者 / 女形 / 見立て / 饗宴性 / 玉川千之丞 / 女方 / 当代性 / 今村久米之助 / 浮世絵 / 役者絵尽

本体8,800円+税

初版発行:2017年6月26日 A5判・上製・カバー装・336頁 ISBN 978-4-8406-9762-0 C3095



新聞3誌(朝日新聞2017年9月7日・毎日新聞2017年7月30日・読売新聞2017年7月23日)で紹介!
かぶき者・当代性・断片性・好色性・饗宴性・女方・見立て
七つの視点から歌舞伎の本質に迫る

【内容説明】・110余点の絵画資料から、初期歌舞伎の演技・演出の実態に肉迫。高度な学問的成果が、平易な語り口によって解き明かされ、歌舞伎の歌舞伎たる所以が解明される。
・400年の歴史を有する歌舞伎は、常に変転を繰り返してきた。歌舞伎は、時代時代によって、まったく別ジャンルの演劇であるかのような様相を呈する。それでは、いったいなにが、どのような性質が、歌舞伎を「歌舞伎」と呼ばせてきたのだろう。いつの時代の歌舞伎にも通底する、歌舞伎が歌舞伎であるための必要条件、本質とは何だったのか。本書は、歌舞伎にとっての最も重要な、この問題に肉迫していく。
・新発見の資料『役者絵づくし』(国文学研究資料館本)をもとに展開される、堅牢な考察。同書に現存最古の象眼跡を発見し、最先端の流行風俗を舞台化することこそが歌舞伎の本質であることを、あざやかに解明する。
・歌舞伎はなぜストーリーが分かりにくいのか。「断片性」という歌舞伎の性格を成立期から摘出し、現代の「みどり」という部分上演方式の芽生えが、大名屋敷への出張興行にあったことを指摘する。
・観客が舞台に参加する「饗宴性」を歌舞伎の本質の一つとし、相撲観戦や中国演劇の資料などにも目を放ち、演劇の本質に迫る。
・「売色」と「好色」を歌舞伎の生れ故郷と見なし、歌舞伎が売色のためのショーウインドウから脱化していく歴史を、二人の女方役者の足跡を追うことによって解き明かしていく。
・歌舞伎女方の先駆的名優 玉川千之丞の演技を、その姿態・表情にいたるまで具体的に解明し、「すさまじい」嫉妬の表現が生み出される過程に迫る。これによって、内容よりも表現を重視するという歌舞伎の特質を摘出する。
・「見立て」という表現技法が歌舞伎の演技の本質としてあると揚言。これを忘れてしまった現代の歌舞伎に警鐘を鳴らす。

【目次】第一部 歌舞伎とは いかなる演劇か
カイミーラ歌舞伎/かぶき者の登場/当代性—時代の旬を描く演劇/断片性—ストーリーのない演劇/歌舞伎の生まれ故郷—好色と売色/饗宴性—飲み食いの中の演劇/女方—女優のいない演劇/見立て—登場人物にならない演技

第二部 初期歌舞伎の諸相
第1章 『役者絵づくし』の研究—諸本紹介・成立年代考証・象眼—
従来の刊行年諸説/『役者絵づくし』の諸本/諸本の系統と先後関係/シカゴ美術館本の成立・刊行年/幻の初版本/『役者絵づくし』の象眼
第2章 断片の演劇—歌舞伎と人形浄瑠璃—
歌舞伎の断片上演/人形浄瑠璃の断片上演
第3章 江戸の演劇空間—もう一つの劇場
芸能と芸能者の定着/貴人の邸宅での歌舞伎上演/座敷芝居の舞台/絵画に描かれた座敷芝居/『見立座敷狂言』の図
第4章 色白の女方—今村久米之助の生涯
若衆方時代/今村久米之助の画像/若女方時代/花車方時代
第5章 うわなりの開山 玉川千之丞—「河内通」とその演技
千之丞の生没年/二代目・三代目の千之丞/『古今四場居色競百人一首』の千之丞/千之丞の「河内通」/千之丞の演技/『大和物語』の「沖つ白浪」/「すさまじい」嫉妬表現/鏡に写す千之丞の演技
第6章 ボストン美術館蔵『江戸芝居町図屏風』—景観年代について—
従来の年代考証/景観年代の考証/景観年代と成立年代
第7章 歌舞伎と見立て
団十郎が披露した荒事/座敷芝居の「出世景清」/見立てられた牢屋/「見立て」と歌舞伎の演技

第三部 資料紹介『役者絵づくし』(全52丁)
解説・翻刻・影印
索引・掲載図版一覧


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