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尊経閣善本影印集成36 政事要略〔第五輯 古代法制史料〕
在庫あり

尊経閣善本影印集成36 政事要略〔第五輯 古代法制史料〕 (そんけいかくぜんぽんえいいんしゅうせいせいじようりゃく)

【所収書目】
「政事要略」鎌倉初期写(重要文化財) 三巻

前田育徳会尊経閣文庫編/〔解説〕吉岡眞之

本体26,000円+税

初版発行:2006年2月28日 B5判・上製・貼函入・362頁 ISBN 4-8406-2336-8 C3321



最高峰の古典文庫から至宝の蔵書を精選!

【内容説明】第五輯 古代法制史料
国立歴史民俗博物館教授 吉岡眞之
 日本古代史の研究は「律令格式」を中心とする法制史料の分析・研究を抜きにしては成り立ちがたい。それは主として古代史料の残存状態が法・政治の分野に偏しているという事情によるものであり、古代社会の構造や経済活動の実態を解明するに当たっても法規定の内容分析が不可欠の回路とならざるをえないのである。
 日本古代法の基本は、七世紀後半以降、中国に学んで制定された「律令」であるが、社会の変化とともに「律令」の規定を修正する「格」がしきりに公布され、また基本方針を規定するにとどまる「律令」の施行細則として「式」が整備されていくことになる。それらは九世紀から一〇世紀にかけて「弘仁格式」「貞観格式」「延喜格式」としてまとめられ、また律令官人の交替手続きを規定した『延暦交替式』『貞観交替式』『延喜交替式』もほぼ同時期に編纂されている。このうち「格」は一一世紀に『類聚三代格』として再編・統合されて政務に必携の書として利用され、さらに平安時代後期にかけては『政事要略』『法曹類林』などの浩澣な政務参考書も編纂されている。これらの史料は現在、『弘仁格』の目録である『弘仁格抄』、『類聚三代格』の一部、『弘仁式』の一部、『延喜式』、『延暦交替式』、『貞観交替式』下巻、『延喜交替式』、『政事要略』の一部、『法曹類林』の一部が伝わっており、いずれも「新訂増補国史大系」に収められて広く利用されている。
 日本古代史の実証的研究は第二次大戦後に急速に発展し、多くの研究成果が公表されたが、近年はそれに対する詳細な批判的再検討が進められており、その過程で史料への厳しい目が注がれるようになってきた。このような動向は必然的に良質の史料への欲求を拡大させ、新たに校訂を加えたテキストを作成し、あるいは重要な写本を影印によって刊行するなどの企てが各方面で行われている。このような研究の動向の中で影印刊行される尊経閣文庫所蔵の『類聚三代格』『貞観交替式』『延喜交替式』『政事要略』『法曹類林』はいずれも古代法制史料を代表する重要史料であるとともに、その最も良質な写本としての地位を占めている。これの刊行は、優れた校訂によって高い評価を得ている「新訂増補国史大系」本の再検討を通じて新たな研究成果を生み出す契機となるであろう。

【目次】『政事要略』
 律令格式の条文、和漢の書籍などを広く収集して分類し、政務の参考とした法制書で、編者は明法博士令宗(惟宗)允亮である。藤原実資の日記『小右記』の目録である『小記目録』によれば、本書は長保四年(一〇〇二)にひとまず成立したと見られるが、その後も允亮による追記がなされているようである。本書編纂の契機には藤原実資の関与があったと考えられている。
 本書はもと百三十巻から成り、「年中行事」「公務要事」「交替雑事」「糾弾雑事」「至要雑事」「臨時雑事」などに分類されていたが、現在は「年中行事」「交替雑事」「糾弾雑事」「至要雑事」のうちの二十五巻分を残すのみである。本書は成立後程ない頃から、藤原実資の小野宮流に相伝された「一本書」であって他家には存在しないといわれ、あまり広く流布することがなかったらしい。恐らくそのこととも関わって、古写本の伝わるものは少なく、鎌倉時代書写の金沢文庫旧蔵本および、室町時代後期の写本といわれる穂久邇文庫本が知られるに過ぎない。尊経閣文庫には金沢文庫旧蔵の巻二十五・六十・六十九の三巻が伝存する。


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