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尊経閣善本影印集成35 交替式 法曹類林〔第五輯 古代法制史料〕
在庫あり

尊経閣善本影印集成35 交替式 法曹類林〔第五輯 古代法制史料〕 (そんけいかくぜんぽんえいいんしゅうせいほっそうるいりん・こうたいしき)

【所収書目】
「交替式《 室町後期写 一冊
「法曹類林《 嘉元二年写 巻一九七残巻(重要文化財) 一巻

前田育徳会尊経閣文庫編/〔解説〕吉岡眞之

本体24,000円+税

初版発行:2005年1月31日 B5判・上製・貼函入・224頁 ISBN 4-8406-2335-X C3321



最高峰の古典文庫から至宝の蔵書を精選!

【内容説明】第五輯 古代法制史料
国立歴史民俗博物館教授 吉岡眞之
 日本古代史の研究は「律令格式《を中心とする法制史料の分析・研究を抜きにしては成り立ちがたい。それは主として古代史料の残存状態が法・政治の分野に偏しているという事情によるものであり、古代社会の構造や経済活動の実態を解明するに当たっても法規定の内容分析が上可欠の回路とならざるをえないのである。
 日本古代法の基本は、七世紀後半以降、中国に学んで制定された「律令《であるが、社会の変化とともに「律令《の規定を修正する「格《がしきりに公布され、また基本方針を規定するにとどまる「律令《の施行細則として「式《が整備されていくことになる。それらは九世紀から一〇世紀にかけて「弘仁格式《「貞観格式《「延喜格式《としてまとめられ、また律令官人の交替手続きを規定した『延暦交替式』『貞観交替式』『延喜交替式』もほぼ同時期に編纂されている。このうち「格《は一一世紀に『類聚三代格』として再編・統合されて政務に必携の書として利用され、さらに平安時代後期にかけては『政事要略』『法曹類林』などの浩澣な政務参考書も編纂されている。これらの史料は現在、『弘仁格』の目録である『弘仁格抄』、『類聚三代格』の一部、『弘仁式』の一部、『延喜式』、『延暦交替式』、『貞観交替式』下巻、『延喜交替式』、『政事要略』の一部、『法曹類林』の一部が伝わっており、いずれも「新訂増補国史大系《に収められて広く利用されている。
 日本古代史の実証的研究は第二次大戦後に急速に発展し、多くの研究成果が公表されたが、近年はそれに対する詳細な批判的再検討が進められており、その過程で史料への厳しい目が注がれるようになってきた。このような動向は必然的に良質の史料への欲求を拡大させ、新たに校訂を加えたテキストを作成し、あるいは重要な写本を影印によって刊行するなどの企てが各方面で行われている。このような研究の動向の中で影印刊行される尊経閣文庫所蔵の『類聚三代格』『貞観交替式』『延喜交替式』『政事要略』『法曹類林』はいずれも古代法制史料を代表する重要史料であるとともに、その最も良質な写本としての地位を占めている。これの刊行は、優れた校訂によって高い評価を得ている「新訂増補国史大系《本の再検討を通じて新たな研究成果を生み出す契機となるであろう。

【目次】『交替式』

 律令官人の職務交替の際の事務引継ぎ手続きなどに関する法令集である。八世紀に「交替式《と称する私撰の書が存在したというが、内容に上備が多く、このため勘解由使の手によって延暦二十二年(八〇三)にいわゆる『延暦交替式』(原題『撰定交替式』)が編纂され、桓武天皇の裁可を得た。『延暦交替式』は国司の交替のみを対象としていたが、後に対象を中央官人にも拡大し、貞観九年(八六七)ころに『貞観交替式』(原題『新定内外官交替式』)が、延喜二十一年(九二一)に『延喜交替式』(原題『内外官交替式』)が、それぞれ勘解由使により編纂された。
 尊経閣文庫の『交替式』は『貞観交替式』下巻と『延喜交替式』を合綴した袋綴じの冊子本一冊である。『貞観交替式』は上巻を失っているが、両書ともに室町時代後期の書写と見られる現存最古の写本である。流布諸本の祖本の位置にある最も重要な写本であり、「新訂増補国史大系《本の底本としても用いられている。もと三条西家に伝来していたが、貞享二年(一六八五)に金沢藩主前田綱紀の得るところとなり、今にいたっている。

『法曹類林』
 政務の参考とするため、法家の勘文や問答を分類集成した法制書である。法家の架空の議論ではなく、現実的で具体的な内容を持つ点で貴重な史料である。編者は藤原通憲(信西)とされているが、通憲個人の手になると見る点については異論もある。成立年次は上明であるが、通憲が関与しているとすれば、その成立は十二世紀中葉と考えられる。
本書はもと二百三十巻とも七百三十巻ともいわれるが、その大半は散逸した。「新訂増補国史大系《には金沢文庫旧蔵の巻百九十二(現内閣文庫所蔵)・巻百九十七(現内閣文庫および尊経閣文庫所蔵)・巻二百(現内閣文庫所蔵)、および宮内庁書陵部所蔵本を底本とする巻二百二十六の四巻を収録しているが、巻二百二十六は全体としては『明法肝要鈔』と称する書物であり、そこに『法曹類林』巻二百二十六が引用されたものであることが太田晶二郎により指摘されている。また近年、巻次上明の断簡も紹介されており、「新訂増補国史大系《本の再検討が求められている。
 尊経閣文庫本巻百九十七の巻頭第一紙は早くに本体から剥離し、今は内閣文庫に収蔵されている。このため本巻は書吊も明らかでないまま、ながらく『政事要略』と見なされてきたが、後に和田英松がこれを『法曹類林』と考定し、内閣文庫所蔵の第一紙と接合することを明らかにしたことにより世に知られることとなった。現在、尊経閣文庫本は内閣文庫所蔵の第一紙を影写して補っている。


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