八木書店 出版物・古書目録

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大航海時代の日本—ポルトガル公文書に見る— (だいこうかいじだいのにほん ぽるとがるこうもんじょにみる)

高瀬弘一郎訳註

本体15,000円+税

初版発行:2011年2月28日 A5判・上製・函入・770頁 ISBN 978-4-8406-2071-0 C3021



第17回ロドリゲス通事賞受賞!
奴隷・暴君秀吉・孤児基金の流用—
信仰に隠されたポルトガル国王の本音は?
“異教国”日本に関する難解な古ポルトガル語文書を現代語訳に!
第五回徳川賞『モンスーン文書と日本』(小社刊)待望の続刊!

【内容説明】●本書の特長●

・ポルトガル国王の見た戦国時代の日本とは?国王の肉声を通して、16世紀当時の貿易、文化を知る一級資料を初公刊。
・ポルトガル国王やインド副王等の、インディア領国統治に関する膨大な公文書から、日本に関係する文書171 通を選び、現代語訳と詳細な註を付す。
・信長・秀吉・家康が活躍した1520 年から1620 年までを収録。
・徳川賞を受賞し、好評を博した『モンスーン文書と日本』に続く、待望の続刊。
・理解を深めるために、収録文書の概要、全171 文書の内容細目と、詳細な索引を付した。
・本書の底本は、インディア領国政庁の書記官を勤めたリヴァラ(1809~79)の翻刻本(原文書はほとんどが紛失・破損)。
・ポルトガル人に重宝された日本人奴隷の実態
・日本の暴君=豊臣秀吉の動向に注意を払うポルトガル国王
・大きな利権を生んだ日本航海権の売買
・孤児救済を目的に設立された基金を使い込むキリスト教会
・そのほか、日本人が武器をマカオにもたらすことの禁止、中国産の銅輸入、男色の罪を犯した者に対する処罰など、多彩な内容


●公文書を読む●

■暴君=豊臣秀吉の評判
 イエズス会巡察師は、昨年のモンスーンのシナのナウ船団を利用して、インディア総督に次のように書き送ってきた。あの日本に1 人の暴君(=豊臣秀吉)が台頭し、短時日の内に日本の諸島および諸王国全体の支配者となった。そしてあの地域の改宗に従事している修道士たち全員に対し、直ちにそれら日本諸島・諸王国の領外に退去するよう、福音を宣布しないよう、通告させた。それが、彼らの先祖たちの法に反する法だからである。そして、彼らからコレジオを奪い、彼らが持っていた教会を焼却した、と。(1591 年、文書74)

 日本の暴君(=豊臣秀吉)はいくらか穏和になり、イエズス会修道士たちに対し、長崎の教会を再建すること、および長崎港に自由に居住することを許可した。イエズス会巡察師が彼(=秀吉)に贈るよう託された進物を持って彼の政庁を訪ねることによって、これらの修道士があの地域の異教徒の改宗についてかつて享受していたような自由を、彼(=秀吉)が全面的に回復させることが期待される。それは、この大変偉大な仕事にとって、非常に効果的だろう、と。(1596 年、文書109)

 すなわち、長崎を除き日本のすべての地域において、そこにいるイエズス会修道士たちは公然と説教をし、ミサが挙行されている。暴君(=秀吉)はそれを見逃していると思われている。その年〔1595 年か〕には、新たに5~6000 人のキリスト教徒が生まれた。あの日本の主立った人々の多くは、すでに密かにキリスト教徒になっているのであるから、この暴君の死亡によりそれになるであろう、と思われている。彼(=秀吉)はすでに、民衆がキリスト教徒になることに対しては許可を与えているが、貴人については否である。彼らは破壊された多くの教会を建造した。彼は、すべての人々を恐れたがために、高麗の戦いを断念した、と。(1598 年、文書127)

■奴隷を正当化するキリスト教徒

 ポルトガル国王陛下がそれを命じている以上、われわれは何人をも購入することはないであろう。しかし、日本国民は彼ら自身の子供たちを売却するのを常とするのだ。しかも日本人は彼らと同じ非信徒たちに売却する。つまり、日本国民は日本国民を異教徒たちに売却するのだ。したがってキリスト教徒たちへの売却は、正当であるように思われる。というのは、キリスト教徒は購入した者たちを皆、キリスト教徒にするからである。 (1605 年、文書148)

■戦力として期待された日本人奴隷

 今までに行われた売却は、日本司教の書面による同意を得て行われた。(中略)彼ら(日本人)は非常に好戦的な国民で、戦争のためや、攻囲にあるいは必要に際して奉仕をする。少し前に、オランダ人たちのためにその必要が生じた際に見られた通りである。ゴア市から1 人の妻帯者が、鉄砲と槍を持ったこれら従者7、8 人を従えて出征した。というのはインディアにおいては、兵役を果たすことの出来る奴隷は日本人奴隷だけだからである。ゴアの如き大都市では、その城壁の守りのために必要な兵士に不足することがしばしばあるのだ。 (1605 年、文書148) 

■不正貿易の実態

 朕(=ポルトガル国王)はまた次のような情報を得た。取引をするために日本に行くポルトガル人たちは、売る時と買う時とで、分銅や秤を替える。これはすべて、日本人たちに多大な損害を与えるものであるし、これがまた、彼らの改宗にとって重大な妨げとなっている。新たに改宗した者たちが、それによって大なる躓きをきたしている、と。 (1571 年、文書38)


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