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日本古代の氏姓制 (にほんこだいのしせいせい)

中村友一著(なかむら ともかず・博士〔史学〕・明治大学日本古代学教育センター研究推進員)

本体9,800円+税

初版発行:2009年5月14日 A5判・上製・貼函入・336頁 ISBN 978-4-8406-2036-9 C3021


2009年度駿台史学会選奨受賞!
名字に繋がる氏姓の根源を徹底解明!
日本独自の慣習法として氏姓の起源を探る
戦後に華族制度が廃止されるまで日本人の出自意識に影響を与えた氏姓の根源とは?

【内容説明】現在の名字にもつながる「氏姓」は、天皇(大王)により皇族・賤以外の全ての人々に与えられた。
中国・朝鮮の王とは異なり、日本の天皇は「氏姓」をもたなかった。
本書では、この「氏姓制」が、6世紀初頭に成立した日本独自の制度であり、天皇が氏姓を賜え、奪うことで、通時代的に公民を支配していた軌跡をたどる。
通史的な理解のために、氏姓についてのコラム3本を付す。

 ■著者略歴 中村友一(なかむら ともかず)
 1972年生まれ 明治大学文学部卒業 法政大学博士前期課程修了、明治大学博士後期課程博士号取得。


 ■氏姓制とは
 摂関時代に藤原氏の全盛時代を築いた人物に藤原道長がいる。望月の歌を詠んだことでも有名だが、藤原道長は「朝臣(あそみ)」の姓(カバネ)を有していた。

 「名前」を分解してみると、藤原(ウヂ)朝臣(カバネ)道長(個人名)となる。

 氏(ウヂ)は職掌や地名から付けられることが多く、その氏族の性格を表した。これを「名負氏(なおいのうじ)」というが、中国や朝鮮には見られない日本独自の制度だった。 一方、姓(カバネ)は氏(ウヂ)の職掌・出自・本拠地・格などを総合して、天皇の裁量により与えられた。

 具体的に次の例から理解してみよう。

 「津守連大海(つもりむらじおおあま)」という人物が飛鳥時代にいた。ウヂが「津守」とあることから、水上交通の要衝、とりわけ津の管掌を行っていたことがわかる。そこから派生した職掌として、対外関係に従事する性格があるようである。 姓(カバネ)は「連(むらじ)」。カバネは名負氏の性格によって与えられる種類が分けられたが、「連」は職業的部とよばれる集団を率いる統率者(伴造、とものみやつこ)に与えられた。ウヂに地名を負う「臣(おみ)」というカバネに対して、「連」はウヂに職業名を負うことが多い。


■本書を推薦します■眼光鋭く氏姓の起源に迫る
明治大学教授吉村武彦

 現在の多くの氏名(しめい)は、名字であるが、古代には大伴氏や物部氏のように、自らの職掌を氏名(ウヂナ)とする氏族がいた。大伴の場合は、「トモ」として王宮に出仕し、舎人・靫負などの政事や軍事の職務で、天皇に仕え奉る氏族集団である。大伴家持は、「祖(おや)の名(な)断(た)つな大伴(おおとも)の氏(うじ)と名(な)に負(お)へるますらをの伴(とも)」という「族(やから)を喩(さと)す歌」を『万葉集』に残している。

 本書は、このような名負氏の問題の根源を解き明かそうとする著作であり、氏(ウヂ)の本質に迫る力作である。日本独自の慣習法として氏姓を捉える考察は、5世紀後半から10世紀半ばに及び、氏姓制の成立・展開・変容のプロセスを分析する著者の眼光は鋭く、古代史研究と氏姓の研究に大きな一石を投ずる研究である。

【目次】はじめに

序 章 氏姓制の問題意識と用語の定義
一総合的な課題と語句の定義/二構成と個別の課題

第一章 「氏姓」の成立とその契機
一研究史と問題の所在/二日本側史料に見る氏姓成立の時期/三中国側史料に見る氏姓成立の時期/四氏姓成立の契機/小 結

第二章 律令制前の政事構造と氏
一問題の所在/二律令制下の君臣関係/三「名負氏」と「仕奉」に見る政事構造/四姓の性格─(山)君姓を中心に─/五氏姓の特徴/小 結
〔コラム〕出土文字史料と氏姓制

第三章 律令制導入前と律令制下の氏姓制
一氏姓制の推移と問題の所在/二氏姓制の整備過程/三養老令制と氏姓制/四大宝・養老継嗣令文の復原/小 結

第四章 賜氏姓・改賜氏姓から見る氏姓制
一問題の所在と分析視角/二改賜氏姓事由による類型化/三改賜氏姓の時期的変遷/四氏族側から見る改賜氏姓/五古代天皇権の性格とのかかわり/小 結
〔コラム〕武士や大名も意識していた氏姓

第五章 平安時代前半の氏姓制
一問題の所在と本章の検討史料の性格/二『姓氏録』の編纂と氏族/三同祖同族関係の成立と管理/四『延喜式』から見る平安時代前期の氏姓制/小 結
〔コラム〕華族制度と家名(苗字)

終 章

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