出版物
馬琴と書物—伝奇世界の底流— (ばきんとしょもつ でんきせかいのていりゅう)
本体15,000円+税
初版発行:2011年8月10日 A5判・上製・カバー装・784頁 ISBN 978-4-8406-9676-0 C1095
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曲亭馬琴、その知られざる創作の秘奥!
博覧強記で鳴らした馬琴の書翰・日記を丹念に読み解き、繙いた万巻の書物と創作の関わりを詳細に検証!
【内容説明】■馬琴書翰を丹念に読み解き、読本や合巻がどのような経過で執筆されたかを解き明かす。
■『水滸伝』や『金瓶梅』など、馬琴の繙いた中国小説を検証。自作におけるその筋立て利用の実態はもとより、馬琴ならではの翻案の独自性や改変意図などについても考察する。
■『隔簾花影』『両交婚伝』『金蘭筏』『八洞天』、増刪本『二度梅』など、これまで馬琴作品との関連が指摘されてこなかった中国小説に初めて言及。書翰や日記などに基づき、その入手経緯や読書の経過も詳細に跡づけた。
■第一部では、和漢の文物に対する馬琴の考証と創作との不可分の関係を追究。考証に用いられた典籍を具体的に確認し、その意義や特性について考察する。
■第二部では、馬琴の『水滸伝』受容を時間を追って概観。馬琴の小説観が、『水滸伝』の評者・金聖歎を強く意識しながら発展したことを跡づける。
■第三部では、これまであまり研究が行われていなかった長編合巻『新編金瓶梅』について、『金瓶梅』のみならず、さまざまな白話小説からの筋立ての利用を確認、翻案の実態を明らかにする。
【目次】序 論 馬琴と書物
第一部 馬琴の考証と書翰
第一章 『俳諧歳時記』の成立
第二章 曲亭蔵書の成立過程
─「俳書目録」と「購得書目」─
第三章 『夢想兵衛胡蝶物語』の「強飲国」
第四章 馬琴の考証と『塩尻』
Ⅰ 文化期の馬琴と『塩尻』
Ⅱ 黙老旧蔵本『塩尻』と馬琴
第五章 「拙点水滸伝」考
─百二十回本『水滸伝』の購入と披閲─
第六章 『作者部類』の改稿過程
第七章 馬琴書翰とその周辺
Ⅰ 京山・金魚・馬琴
Ⅱ 「雲烟録」所引馬琴書翰をめぐって
Ⅲ 『異聞雑稿』と馬琴書翰
第二部 中国白話小説の披閲と受容
第一章 文政期の『水滸伝』流行と『傾城水滸伝』
第二章 『水滸伝』の諸本と馬琴
第三章 『水滸伝』の作者と馬琴
─「今古独歩の作者」羅貫中の発見─
第四章 馬琴と金聖歎
─『水滸伝』の評価をめぐる対立─
第五章 『水滸伝』の続書と馬琴
第六章 『水滸伝』の図像と馬琴
Ⅰ 二つの水滸伝絵巻
Ⅱ 陸謙の水滸伝図像をめぐって
第七章 才子佳人小説『二度梅』と馬琴
第八章 馬琴長編合巻小考
Ⅰ 『風俗金魚伝』の検閲と改稿
Ⅱ 『女郎花五色石台』典拠小考
第三部 『新編金瓶梅』の世界
第一章 馬琴と『金瓶梅』
第二章 『新編金瓶梅』発端部分の構想と中国小説
第三章 『新編金瓶梅』と『金蘭筏』
第四章 天保期の馬琴と『平山冷燕』『両交婚伝』
第五章 『新編金瓶梅』と『隔簾花影』
第六章 呉服母子の受難
─『新編金瓶梅』の翻案手法─
第七章 毒婦阿蓮の造形
─『新編金瓶梅』の勧善懲悪─
第八章 『新編金瓶梅』の二図をめぐって
Ⅰ 「宋素卿」の寓意
Ⅱ 和合二仙童の寓意
書名索引
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