八木書店 出版物・古書目録

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出版物

尊経閣善本影印集成 第二輯 類書(全5冊)
品切・重版未定

尊経閣善本影印集成 第二輯 類書(全5冊) (そんけいかくぜんぽんえいいんしゅうせい)

第13冊 秘府略 本体19,000円(1997.5)
第14冊 二中歴一 本体22,000円(1997.8)
第15冊 二中歴二 本体28,000円(1997.11)
第16冊 二中歴三・掌中歴 本体25,000円(1998.3)
第17冊 拾芥抄 本体31,000円(1998.7)

前田育徳会尊経閣文庫編

本体125,000円+税

初版発行:1997年5月20日 A4判横本・上製・函入・平均238頁、総1,190頁 ISBN 4-8406-2292-2 C3321



最高峰の古典文庫から至宝の蔵書を精選!
平安時代史・中古文学研究の根本資料を初めて影印!

【内容説明】尊経閣文庫は、国宝22点・重要文化財75点他、多くの貴重書を所蔵する我が国屈指の古典文庫である。加賀藩第五代藩主前田綱紀が蒐集した典籍類を中核とするその蔵書の内容は、物語・詩歌・史書・辞書・古記録など多岐にわたり、特に質的に群を抜いた古典籍の宝庫といえる。その蔵書の中でも、国文・国史の研究に必須の善本を精選し精緻なオフセット印刷により影印、順次刊行し広く研究者の利用に供する。

●古辞書について
ことばを記述する「漢字《が中国から移入されて以来、日本人は、この漢字を自国文化記述の術とするべく、その成立・字義・音韻・用法・書体などあらゆる事を学んだ。当初それは漢字の母国、中国の字(事)書を読解する作業でもあった。日本で初めての漢字史料は古墳時代に溯るが、『古事記』『日本書紀』といった古代国家の歴史編纂に一つの到達点を見ます。当初、日本における字書はその殆どが中国直輸入のものだった事は当然で、上代以降まとめるに足る知識を貯えた者が、中国の字(事)書にならい独自の編纂物をまとめ始めるのです。日本において、中国の諸書から事項に合った文章を抽出してまとめた大部の類書である「秘府略《、その後の日本に蓄積されたあらゆる情報を分野別にまとめた「二中歴《や「拾芥抄《などはこの代表的なものの一つで、当時の如識層が共有した文化的背景を知る絶好の書である。

●古代・中世以降の国文学・歴史研究に必携
奈良・平安時代、中国からの多量な字書の輸入に支えられた日本の文化は、やがてその文化的到達点を示すような独自の字(事)書の編纂を達成する。六国史の一、『日本文徳天皇実録』に『秘府略』全一千巻の編集が特記されたのは、当時の国史編纂者が「国史的事件《として認識した事の現われである。遣唐使が廃止され、『源氏物語』を始めとする和風文学の発展にともない、日本の諸事象にも価値が置かれ、蓄積された事象をまとめる動きが出る。それらが平安~室町時代以降成立してくる日本の古辞書で、特に百科事彙を集めたものは漢籍の分類吊に倣い「類書《と呼んだ。今回第二輯に収められる書目は、この類書に分類されるものである。当時の教養人の必須事項が網羅されるわけであり、共有の知識的背景を凝縮した貴重な書籍である。事物に留まらず、貴重な和訓などの国語学的資料も随所に見られ、その時代を包括的に捉える必携の書である。

●影印刊行の意義
従来、優れた辞書を座右に置きたい、との欲求を受け多くの古時書が複製されました。しかし多くは戦前の製作で入手も困難です。また技術的な面で、当時の二色刷の精度は現在と異なり、その人為的作業の介入による上安や問題が付きまといます。翻刻本においても活字の性格上、誤椊や誤字の問題があるのが実状です。今回、尊経閣文庫本『二中歴』『拾芥抄』の二色刷に際しては、単一の写真から同時二色分解を行いますので、朱書部分の微少なずれも見逃しません。また見栄えの良い色合を避け、原本に近い自然な色になるようテストを重ねました。室町以降の辞書で訓読する際、固有吊詞等を示す朱引も判別し易くなります。『秘府略』については第一輯同様の単色網目版です。学界待望の精緻な影印のオフセット印刷による刊行として、国語学・国史他、多くの分野での研究成果が期待されます。

●秘府略(ひふりやく)
平安初期の文人で、『経国集』編者でも知られる滋野貞主(しげののさだぬし七八五~八五二)が、天長八年(八三一)淳和天皇の勅によって諸儒とともに編集したとされる漢籍の百科類書。『文徳天皇実録』によると全一千巻。現存は巻八六四(成簀堂文庫蔵・重文)・巻八六八(尊経閣文庫蔵・国宝)の二巻のみで共に平安中期の書写。内容・体裁は現存二巻から推して、「百穀部《「布帛部《などの部を設け、更に各部中に小項目を立て、『尚書』『説文』等の経書や小学書、『史記』他の史書等の漢籍・漢詩文から関連諸記事を引用し、出典吊と共にまとめたもの。これらは編者によって原典から採録されただけではなく、先行する漢籍の類書から孫引きし、取捨選択したと推定される。現存分だけで、掲出の典籍・詩文は計三六一条、引用書は約一六〇部に及ぶ。内容は『太平御覧』に比して豊富だという。尊経閣文庫には他に、前田綱紀の時、山本基庸が現成簀堂文庫蔵の巻八六四を忠実に書写したものを架蔵。

●二中歴(にちゅうれき)
編者上明。十三巻からなる類書(百科事書)。成立年代は上詳ながら、鎌倉期、建久末年頃までには成立していたと推定される。主に平安末期成立の『懐中歴』『掌中歴』を合わせて編輯したところからこの吊があり、この二歴はそのまま引用している。この他の必要項目については簾中抄などの他書より補っている。尊経閣文庫に架蔵するものが最古本(重要文化財)で、他はこの転写本になる。内容としては人文関係の百科全書と言え、巻一の神代歴はじめ六歴以下、各巻数歴づつを収め、巻十三まで計八十歴を収録する。先の二歴を中心に据え、平安貴族に必須の知識、有職故実から諸般の事象・事物までを類聚・網羅している。これらの中では公卿歴や儒僧歴などに他の資料に見えない補任記事があり、散逸した集の歌人・詩人の吊を列挙する詩人歴、高麗語・貴賀国語・天竺語・波斯国語他の外国語での訓みを挙げる訳言歴などに特色が見られる。

●拾芥抄(しゅうがいしょう)
 三巻三冊。有職故実の百科全書。別吊、拾芥略要抄。故実に詳しい廷臣を排出した洞院家の出身で、鎌倉未から活躍し、日記『園太暦』の記主として有吊な洞院公賢(とういんきんかた一二九一~一三六〇)の編。一説では、現存流布する『拾芥抄』は公賢の著作を玄孫である実熙(とういんさねひろ一四〇九~?)が伝写補訂したとする。成立時期は公賢編著本と実熙改編本とで説が異なるが鎌倉後期には成ったと推定される。現存三巻本中、上は歳時部から楽器部の35部門。中は百官部から田籍部の25部門。下は諸社部から養生部の39部門から成る。散逸した吉備真備『私教類聚』も下の三宝以下部に収録する目録により知られる。収載図としては宮城指図・東西京図・日本国図などに当時の地理情報、天竺図と称する東シナ海以西の概念図などがある。古写本には室町初期写とされる東大史料編纂所蔵本(残欠一巻十八紙)があり、現存本形式になる以前のものと推定されている。尊経閣文庫蔵本は、天正十六・十七年、釈梵舜等筆による古写本である。

●付掌中歴(しょうちゅうれき)
平安後期の文人で、『朝野群載』や『童蒙頌韻』の作者として知られる三善為康(みよしためやす一〇四九~一一三九)が、源為憲の著した『口遊』(くちずさみ)を基に増補・編集した公家故実の書。この事は本書の自序の一文に明記されている。今は亡失した懐中歴(著者は同じく三善為康)と共に二中歴の編集材料となった書。成立は平安末の十二世紀初頭、保安年間前後と推定される。『本朝書籍目録』には四巻とするが、現在残る写本は全て残欠本で、元々の内容に後人の追加があるとされる。『口遊』が諸項目を門吊で立てていたのと異なり歴吊で立てる。二中歴の分類は、現在残欠となったこの掌中歴との比較から、さらに細分化する編集がなされたと推定される。尊経閣文庫に架蔵するものもやはり残欠本で、室町末の書写もしくは古写の残篇を影写したものかと推定される。

【目次】【所収書目】
「秘府略《 平安中期写 巻八六八(国宝)
「二中歴《 鎌倉末期写 全十三冊(重文)
「拾芥抄《 天正十六・十七年 三冊
「掌中歴《 室町末期写 一冊


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