出版物
近代文学Ⅱ (きんだいぶんがく)
発行:日本近代文学館
(昭和26年1月ヵ)~昭和29年12月・全44冊
日本近代文学館
本体128,000円+税
初版発行:2004年9月 A5判(原寸大)・総4712頁 ISBN 4-8406-8015-9 C3000
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【内容説明】「近代文学」は敗戟直後の昭和二十一年一月創刊、昭和三十九年八月まで十八年八ヵ月にわたって通巻一八五冊を世に送って終刊しました。これは質量ともに、明治期・昭和期の「文学界」、大正期の「白樺」など日本近代文学の代表的な同人誌に匹敵するもので、戦後文学の歴史にきわめて大きな役割をはたしました。
創刊同人は山室静、平野謙、本多秋五、埴谷雄高、荒正人、佐々木基一、小田切秀雄の七名で、すでに日中戦争下、「批評」「構想」「現代文学」などの同人誌によって文学的活動をくりひろげ、精神的交友を深めてきましたが、いずれも青春期にマルクス主義文学運動の直接間接の影響をうけ、戦争の暗い谷間での共通の原体験を内面に凝縮させた思想と情熱をもったことが、「近代文学」の性格をあらわしています。
「近代文学」は創刊号から、平野謙「島崎藤村」、本多秋五「芸術 歴史 人間」、荒正人「第二の青春」などの記念碑的論文を次々に掲載し、主体性論、世代論、戦争責任、転向文学、政治と文学論、知識人論、組織と個人論など多岐にわたる問題が提起されました。また埴谷雄高「死霊」も創刊号から二十五回にわたって連載されたものです。
その後、中野重治らとの「政治と文学」論争などを経て、二次にわたる同人拡大を行い(同人名は別項参照)、創刊同人に準ずる藤枝静男を含めて三十名をこえる戦後派と目された文学者を網羅する一大勢力となり、安部公房が「壁」、遠藤周作が「白い人」を発表し芥川賞を受賞したのをはじめ、ここから井上光晴、小川国夫、奥野健男、開高健、北杜夫、杉浦明平、立原正秋、辻邦生、長谷川四郎、日野啓三、吉本隆明らが世におくり出されました。幅広いテーマをとりあげての特集・座談会、外国文学の紹介などでも、次々に新しい問題提起を精力的に行って、注目を浴び、戦後文学の推進者として大きな使命を果たしました。今回複刻される一二〇号までは発売所がその間に協同書房、雁書林、八雲書店、河出書房、東洋時論社と転々としたこともあって、完全揃いはほとんどなく、通して見ることができないため、複刻の要望がすでに早くから寄せられていました。
【目次】別冊解説 回想:山室静・藤枝静男・本多秋五・埴谷雄高・久保田正文・佐々木基一・小田切秀雄・島尾敏雄・平田次三郎・吉本隆明・日野啓三 解説:伊藤成彦 細目・執筆者索引
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