出版物
渡海僧がみた宋代中国—参天台五臺山記を読む— (とかいそうがみたそうだいちゅうごく さんてんだいごだいさんきをよむ)
本体予価4,500円+税
初版発行:2025年2月20日 A5判・202頁 ISBN 978-4-8406-2609-5 C3021
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平安時代の僧が書いた旅日記を読み解き、約1000年前の中国や旅の様子を知る!
中国に渡航し、聖地である天台山・五臺山を巡礼した平安時代の天台僧・成尋の旅日記『参天台五臺山記』。470日間書き続けられた日記を読解・解説し、当時の風俗・習慣・食生活・動植物・交通事情・旅の様子を知る。
【内容説明】①470日連続して記された旅日記『参天台五臺山記』の世界
延久4・5年(1072・1073)、中国に渡航し、天台宗の本山である天台山や文殊信仰の聖地、五臺山を巡礼した平安時代の天台僧・成尋60歳の旅日記『参天台五臺山記』。470日間欠かさず書き続けられた日記をわかりやすい文体で読み解き、当時の旅を体感する。
②克明に記された北宋中国の風俗・文化を知る
『参天台五臺山記』には仏教関係のみならず、宋代中国で最も充実した神宗期(在位1067~1085)の政治・経済・社会・文化などの見聞が記録される。さらに風俗・習慣・食生活・動植物までもが詳細に書かれており、約1,000年前の宋代中国の様子を知ることができる。
③平安時代の天台僧が過ごした旅の日常を知る
『参天台五臺山記』には、中国の水陸交通や、毎日の金銭の収支・物価までもが克明に記されており、平安時代の旅がどのように行われたのかを知ることができる。
④図版を交え、原点史料を読む醍醐味を知る
著者は史料纂集古記録編『参天台五臺山記』第一・第二(八木書店、2023年)の校訂を担当。その最新の研究成果を踏まえ、図版を交えて、生き生きと描かれた旅日記を読み解く。
◆成尋(1013~1081)平安時代中期の天台宗の僧。母は女流歌人で「成尋阿闍梨母集」を残した源俊賢の娘(成尋阿闍梨母)。曾祖父は儀式書『西宮記』をまとめた源高明。延久4年(1072)60歳で北宋へ渡り、天台宗の本山である天台山や文殊信仰の聖地五臺山を旅した。また、円仁や奝然の旅行記と恵心僧都源信の『往生要集』を宋にもたらす一方で、経典など600巻余りを日本へ送った。帰国しようとしたが慰留され宋朝に残り、首都開封で没した。
【目次】序にかえて
成尋—宋代中国への旅(Joh-jin's Travels in Song China)
一 入国と杭州から天台山国清寺への旅
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕三月十五日~五月十三日)
辛苦の船旅/唐海に入る/杭州に上陸/天台山行きの許可/運河の旅
天台山中に入る/国清寺に到着
二 天台山国清寺でのくらし
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕五月十三日~八月五日)
諸寺・諸院に参詣/天台県、台州に赴く/国清寺での交流/再び台州に赴く/上京の準備
三 上京の旅
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕八月六日~十月十一日)
台州から越州へ/運河の様子/蘇州から楚州へ/楚州から宿州まで/京師に到着
四 皇帝との謁見と開封滞在
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕十月十一日~十月三十日)
伝法院に滞在/日本情報の伝達/朝見までの日々/皇帝との面見/諸寺に参詣
五臺山参詣の準備
五 五臺山巡礼
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕十一月一日~十二月二十六日)
往 路/三泊四日の滞在/復 路
六 再び開封での日々(上)
(延久四年〔一〇七二=宋・煕寧五〕十二月二十六日~延久五年〔一〇七三=宋・煕寧六年〕二月八日)
再び伝法院での日々/正月を迎える/皇帝の行幸/弟子たちの出発準備
朝辞と弟子たちの出立
七 再び開封での日々(下)
(延久五年〔一〇七三=宋・煕寧六〕二月九日~四月十四日)
伝法院での交流/宮中での祈雨/天台山への下向までの日々/新訳経の入手を図る
新訳経の頒布と大師号/朝辞と出立を待つ日々
八 明州への旅と弟子たちとの別れ
(延久五年〔一〇七三=宋・煕寧六〕四月十五日~六月十二日)
出 船/楚州から揚州へ/揚州から杭州へ/杭州に到来/明州に向かう
余 言/註
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