出版物
馬琴 椿説弓張月の世界—半月の陰を追う—
本体8,000円+税
初版発行:2010年2月18日 A5判・上製・カバー装・274頁 ISBN 978-4-8406-9658-6 C1095
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八犬伝と双璧をなす馬琴代表作の深奥!
雄大にして奇想天外、霊魂のあやなす馬琴独自の隠微世界を新たな視点で読み解く作品論
【内容説明】●従来重視されていなかった『弓張月』の神怪性に注目し、馬琴独自の鬼神論を駆使した隠微世界を照射。
●背後に秘められた広大多面にわたる和漢思想の検証、北斎の挿絵からの謎解き、『西遊記』との深い関わり等々、『八犬伝』へとつながる本作の深奥に迫る。
●巻末に信多純一の論考「三島由紀夫『日本文学小史』と馬琴」を附載。三島独自の文学史に示された馬琴理解を検証し『弓張月』『八犬伝』の深層に肉薄。
【著者略歴】朝倉瑠嶺子(あさくらるみこ)
1940年生まれ。成城学園卒。世界文化社編集部に勤務後、退職。1989年岡山大学・ノートルダム清心女子大学にて聴講以来、信多純一氏に師事。論文として、『南総里見八犬伝』諸本考(『読本研究』六・七輯/1993年)・馬琴と水戸学—告志篇をめぐって—(『読本研究』十輯/1996年)等。
【目次】序章
第一章 ヒロインの神性
一 白縫と夢鬼
二 白縫寧王女の借屍環魂
三 白縫神
第二章 御霊神崇徳院
一 生きながらなす遊魂の変
二 天狗となる崇徳院
三 天皇の流罪と人道の大変
第三章 『弓張月』における道教世界
一 為朝と神仙の鶴
二 球陽の福禄寿と南極老人
三 神童舜天丸と星の神々
四 矇雲の造型
五 矇雲の正体
第四章 為朝の変現
一 為朝の孤忠
二 為朝の神性—富蔵河に降り立つ為朝
三 為朝の退場—金仙の物語
四 為朝の死と再生—為朝と鬼夜叉
第五章 馬琴と『西遊記』
一 金仙玄奘
二 『西遊真詮』をめぐって
三 『弓張月』から『八犬伝』へ—三教一致の書をめざして
結 章
後 記
附 信多純一 三島由紀夫『日本文学小史』と馬琴
—椿説弓張月・南総里見八犬伝
三島独自の文学史に示された「馬琴の文化意志」とは何か。三島の馬琴理解を検証しつつ、『弓張月』『八犬伝』の深層に肉薄。本書のテーマと深く関わる重要論考。
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