出版物
作品Ⅲ (さくひん)
発行:日本近代文学館
昭和10年1月~昭和11年12月・全24冊
日本近代文学館
本体104,000円+税
初版発行:2004年9月 菊判(原寸大)・総3682頁 ISBN 4-8406-8010-8 C3000
ネット書店で購入
【内容説明】雑誌「作品」は昭和五年五月、小野松二編集で作品社から創刊され、〈純正芸術派〉ともいうべきグループの拠点として、その後の昭和文学の展開に大きな役割をはたした雑誌です。
創刊号の後記には、「『作品』の仲間」として、深田久弥、堀辰雄、井伏鱒二、神西清、小林秀雄、今日出海、蔵原伸二郎、永井龍男、中村正常、小野松二、宗瑛、吉村鉄太郎の十二名が挙げられていますが、このうち深田、堀、永井、吉村の四人は旧「文学」の編集同人で、他の顔ぶれもことごとく寄稿しており、小野松二がそれまで発行していた「1930」にも少なからず執筆していることから、「作品」が両誌の合流、延長とみられており、牧野信一、横光利一、川端康成ら、彼らの先輩格にあたる人々の寄稿も特色といえます。
別項のような多彩な作品を生んだほか、ここから河上徹太郎、石川淳はじめ嘉村礒多、上林暁、中村地平、田畑修一郎、稲垣足穂、仲町貞子、矢田津世子、木山捷平、中谷孝雄、中里恒子らが登場、幅広い執筆者が活躍しました。また初期から前半期にかけては翻訳の占める比重は重く、昭和の翻訳史上で果たした意義もきわめて大きなものがあります。
また特集、座談会も「作品」の誌面を精彩あるものにしています(別項参照)。呼びものになった誌上出版記念会をはじめ、追悼特集、新進特集などがあり、また随筆、感想欄の「作品クラブ」「ペン・クラブ」にもこの雑誌の特色が生き生きと示されています。
今回の複刻は、文学史的に重要な、複刻の意義のある昭和十一年十二月の八十号までです。こうした重要な雑誌が、どこにも完全に揃っていないというのは不思議なことですが、小野松二氏の御遺族から文学館に寄贈された原本によって、複刻が可能になったものです。
【目次】別冊解説 回想:谷川徹三・生島遼一・古谷綱武・井上究一郎・中村光夫 解説:保昌正夫
ネット書店で購入